家で感じる、そして嗚咽
久々に実家に戻った。
去年から新卒として会社で働き始め、それに伴い会社の寮に入寮した。
つまり、そのタイミングで実家を出た。
親兄弟とは仲がよかったほうだと思っているが、自分が割と放浪癖があったので、あまり家に戻らないことがもともとあった。
それもあり、入社後は大体半年に一回くらい戻る程度だった。
今回は自分が家を出るときに整理しきれなかったものの整理をして欲しいと、つまり20年分の垢を落としてほしいと妹に言われたのが契機だった。
掃除自体はまぁ自分のやれる範囲内のことを整理し、捨て、ありとあらゆるものが今の自分には不要で無価値で、でも昔の自分には大切なものであったんだろうなと感じながらゴミ袋に入れ、ひもで縛り、ゴミ捨て場に置いた。
それの繰り返しで、手元には本当にほとんど何も残さなかった。
もう自分にはいらないものにしか思えなかったから、20年間が本当に自分に何も残さなかったのか、思い出すら大事にしないのかと自分の心を笑ったりした。
辛い、辛い辛い、辛い。明日も仕事だ。
何故か掃除中に突然その思いが襲い掛かってきた。
それは親の顔を見たからか、自分の過去がきれいさっぱり捨てられたからか。
自分に残っているのは本当に明日からの日々だけなのだということを強く意識させられた反動か。
食事中に気分が悪くなり、食事もそこそこに先に帰らせてもらうことにした。
親はかなり心配そうだった。
それだけは少し気がかりだった。